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近年、企業買収は、もはや当たり前となっています。 企業買収する目的は様々ありますが、新規事業や市場への参入が容易である事や、参入後、すぐさま高い競争力が得られる事がメリットとして挙げられます。 企業買収というと、どこか悪いイメージを持ってしまいがちです。 その理由のひとつとなるのは、海外の企業が昔ながらの日本の大手企業を買収する、あるいは買収しようとしているというニュースが大きく取り沙汰されるからです。 いくら経営が悪いといっても、馴染みの深い日本の大手老舗企業が海外の企業に買収される事は、日本人としては快く思える事ではありません。 ですから、どうしても企業買収には悪いイメージがつきまとってしまいます。 但し、企業買収は海外の企業が日本の企業に対して行っているだけではありません。 日本の企業も海外の企業を買収しています。 そして立派に成功した例も数多くあります。 例えば、日本を代表する大手電機メーカー、ソニーが行った企業買収です。 ソニーは、1989年にアメリカ企業の買収をしました。 企業の名はコロムビア・ピクチャーズ・エンタテインメントです。 コロムビア・ピクチャーズ・エンタテインメントとは、簡単に言えばコロムビア映画です。 つまり、ソニーは、アカデミー賞受賞作品を含む、数々の名作を世に送り出してきた、アメリカの老舗映画会社であるコロムビア映画を買収したのです。 経営が悪化していたコロムビア映画は、まず1982年にアメリカの大手飲料メーカーで、日本でも馴染みが深いコカ・コーラに買収されました。 しかし、経営は改善されず、コカ・コーラ傘下でコロムビア・ピクチャーズ・エンタテインメントとして統括されていたコロムビア映画を1989年にソニーが48億ドルで買収したのです。 ソニーが買収した1989年当時の日本は、バブル景気でした。 また、日米経済摩擦の時期でもありました。 その為、このソニーによる買収は、アメリカ国内で激しい批判を浴びました。 いわゆるジャパンバッシングです。 この時のアメリカ人の心情は理解できない訳ではありません。 ソニーが買収しても、当初はヒット作を制作する事はできませんでした。 従って、巨額な赤字を計上し、経営の悪化を改善できませんでした。 しかし、1990年代後半からはヒット作に恵まれて経営は復調傾向となり、近年ではアメリカ市場で上位のシェアを占めるようにまでなりました。 つまり、買収の際には酷いバッシングを受けながらも、現在では、しっかりとアメリカに認められているのです。 日本企業が行った買収だから良い企業買収だと言うつもりはありません。 ただ、身近に感じる日本企業による企業買収の成功例を知る事で、企業買収は悪い事ばかりではないと理解する事ができます。 |